制動距離
走っている自動車が、ブレーキをかけ始めてから停止するまでに進む距離を制動距離といいます。
「気を付けよう、車は急に止まれない」
という交通標語は聞いたことがあるでしょうか。
まさに制動距離のことを言っているわけです。
時速 \(30km\) で走っていた車があるとして、
こどもが道路に飛び出してきました。
運転手は急いでブレーキを踏みますが、
踏んだらすぐに車が止まるわけではありません。
\(8m\) 進んでようやく止まることができたとします。
これを時速 \(30km\) のときの制動距離が \(8m\) である、といいます。
この車が \(2\) 倍の速さ、時速 \(60km\) で走る時の制動距離は
\(2\) 倍ではありません。
\(4\) 倍の \(32m\) です。
\(3\) 倍の速さ、時速 \(90km\) で走る時の制動距離は、\(9\) 倍の \(72m\) になります。
飛躍的に止まりにくくなっていきます。
制動距離は、速さの \(2\) 乗に比例するのです。
※高校生で習う物理の言葉で言うと、運動エネルギーが速さの \(2\) 乗に比例するからです。
\(2\) 倍の速さでパンチすると、痛さは \(2\) 倍ではなくて、 \(4\) 倍になります。
※もちろん車種によって、制動距離は異なります。
例題
時速 \(xkm\) で走っている車 \(A\) が、ブレーキをかけ初めてから停止するまでに進む距離を
\(ym\) とすると、 \(y\) は \(x\) の \(2\) 乗に比例する。車 \(A\) が時速 \(40km\) で走っているとき、ブレーキをかけてから止まるまでに進む距離が \(10m\) であるとき次の問いに答えなさい。
① \(y\) を \(x\) の式で表しなさい。
② 時速 \(100km\) で走っているとき、ブレーキをかけてから止まるまでに何 \(m\) 進むか求めなさい。
③ ブレーキをかけてから \(6.4m\) で止まるのは、時速何 \(km\) のときか求めなさい。
解説
\(y\) は \(x\) の \(2\) 乗に比例する、とありますので、\(y=ax^2\) とします
① \(y\) を \(x\) の式で表しなさい。
\(y=ax^2\) に、\(x=40\) と \(y=10\) を代入します。
\(10=a×40^2\)
\(a=\displaystyle \frac{1}{160}\)
よって、求める式は
\(y=\displaystyle \frac{1}{160}x^2\)
② 時速 \(100km\) で走っているときの制動距離
①で求めた式に、 \(x=100\) を代入します。
\(y=\displaystyle \frac{1}{160}×100^2\)
\(y=\displaystyle \frac{125}{2}\)
\(y=62.5\)
より、\(62.5m\) です。
③ 制動距離が \(6.4m\) である時速
①で求めた式に、 \(y=6.4\) を代入します。
\(6.4=\displaystyle \frac{1}{160}×x^2\)
\(6.4×160=x^2\)
\(64×16=x^2\)
\(8^2×4^2=x^2\)
より
\(x=\pm 32\)
題意に適するのは正の値なので、
時速 \(32km\) が求める速さです。
スポンサーリンク