平方完成
平方完成
\(2\) 次方程式は、因数分解によって解くことができる。
非常に重要なことを学びましたが、これで万事解決ではありません。
次の \(2\) 次方程式を解いてみましょう。
\(x^2+6x-1=0\)
これはいずれの方法でも因数分解ができません・・・
つまり、因数分解では解けないパターンもあるということです。
いよいよ最終兵器です。
「平方完成」という超重要技術です。
しっかり学習して身につけてください。
まずは「平方完成」の手順の具体例を見てもらいましょう。
平方完成の手順
まず、文字の項=数の項 となるように移項します。
\(x^2+6x=1\)
次に両辺に \(9\) を足します。
\(x^2+6x\)\(+9\)\(=1\)\(+9\)
なんで?どうして \(9\) を足すの?
という疑問はもっともですが、今は最後までおつきあい下さい。
すると左辺が、平方の公式で因数分解ができます。
\((x+3)^2=10\)
両辺の平方根を取ると
\(x+3=±\sqrt{10}\)
よって
\(x=-3±\sqrt{10}\)
これで、解が求まりました。
\(x=-3+\sqrt{10},-3-\sqrt{10}\) という意味ですよ。念のため。
こんな解法、思いつかない・・・
なんだか、手品のように \(2\) 次方程式が解けてしまいましたね。
非常に巧みな計算技術ですが・・・
こんな計算方法思いつかないよ・・・何これ・・・
ポカーンと口を開けてしまう・・・
こんな感想でOKです。
どうしてこれが思いつくのかという視点は今はいりません。
先人が作り出した素晴らしい技術を受け継ぐ、という姿勢でOKです。
つまるところ、手順を正しく覚えて、運用できるようになりましょう。
簡単に言えば覚えちゃえばいいってことですよ。
平方完成のポイント
さきほど、両辺に \(9\) を足しましたが、なぜこんなことをしたのか。
結論をいってしまえば、
平方の公式で因数分解ができるように調整した
ということです。
- 文字の項=数の項に変形する。
- 「\(x\)の \(1\) 次の項の係数の半分」を \(2\) 乗した数を両辺に足す!!
- 左辺が平方の公式で因数分解される。
いくつか具体例を見て学習していきましょう。
平方完成の具体例1
\(x^2-4x-8=0\)
\(x^2-4x=8\)・・・定数項は右辺に移項
次が最大のポイント!\(-4x\) の \(-4\) に注目。
その半分の \(-2\) を \(2\) 乗して \(4\) 、これを両辺に足します。
\(x^2-4x\)\(+4\)\(=8\)\(+4\)・・・左辺が平方になるように調整
\((x-2)^2=12\)・・・左辺を因数分解
よって
\(x-2=±\sqrt{12}\)
\(x=2±\sqrt{12}\)
\(x=2±2\sqrt{3}\)
この「平方完成」という計算技術を用いれば、あらゆる \(2\) 次方程式を解くことができます。
万能の方法です。
※厳密には、中学生の範囲で出題される \(2\) 次方程式だけです。
平方完成の具体例2
\(x^2-14x-72=0\)
\(x^2-14x=72\)
次が最大のポイント!\(-14x\) の \(-14\) に注目。
その半分の \(-7\) を \(2\) 乗して \(49\) 、これを両辺に足します。
\(x^2-14x\)\(+49\)\(=72\)\(+49\)
\((x-7)^2=121\)
よって
\(x-7=±\sqrt{121}\)
\(x-7=±11\)
\(x=7±11\)
\(x=7+11\) と \(x=7-11\) ということなので
\(x=18,-4\)
これって、はじめから普通に因数分解できたってことですね。
\(x^2-14x-72=0\)
積が \(-72\)
和が \(-14\)
になる \(2\) つの数を探すと、 \(4,-18\)
よって、
\(x^2-14x-72=(x+4)(x-18)=0\)
よって、\(x=-4,18\)
平方完成の具体例3
\(x\) の項の係数が奇数であるときも見ておきましょう。
\(x^2-3x+1=0\)
\(x^2-3x=-1\)
\(x^2-3x\)\(+(\displaystyle \frac{3}{2})^2\)\(=-1\)\(+(\displaystyle \frac{3}{2})^2\)
\((x-\displaystyle \frac{3}{2})^2=-1+\displaystyle \frac{9}{4}\)
\((x-\displaystyle \frac{3}{2})^2=\displaystyle \frac{5}{4}\)
\(x-\displaystyle \frac{3}{2}=±\sqrt{\displaystyle \frac{5}{4}}\)
\(x-\displaystyle \frac{3}{2}=±\displaystyle \frac{\sqrt{5}}{2}\)
\(x=\displaystyle \frac{3}{2}±\displaystyle \frac{\sqrt{5}}{2}\)
\(x=\displaystyle \frac{3±\sqrt{5}}{2}\)
平方完成の具体例4
\(x^2\) の項の係数が \(1\) でないときも見ておきましょう。
\(3x^2-x-4=0\)
\(x^2\) の項の係数が \(1\) ではないときは、両辺を割り算して、\(1\) にします。
両辺を \(3\) で割って、
\(x^2-\displaystyle \frac{1}{3}x-\displaystyle \frac{4}{3}=0\)
\(x^2-\displaystyle \frac{1}{3}x=\displaystyle \frac{4}{3}\)
\(x^2-\displaystyle \frac{1}{3}x\)\(+\displaystyle \frac{1}{36}\)\(=\displaystyle
\frac{4}{3}\)\(+\displaystyle \frac{1}{36}\)
\((x-\displaystyle \frac{1}{6})^2=\displaystyle \frac{49}{36}\)
\(x-\displaystyle \frac{1}{6}=±\sqrt{\displaystyle \frac{49}{36}}\)
\(x-\displaystyle \frac{1}{6}=±\displaystyle \frac{7}{6}\)
\(x=\displaystyle \frac{1}{6}±\displaystyle \frac{7}{6}\)
\(x=\displaystyle \frac{1}{6}+\displaystyle \frac{7}{6},\displaystyle \frac{1}{6}-\displaystyle \frac{7}{6}\)
\(x=-1,\displaystyle \frac{4}{3}\)
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