因数
\(A=B×C\)
のように、ある数や式(\(A\))を、別の数や式(\(B\) や \(C\) )の積で表すことができるとき、
この \(B\) や \(C\) のような、積の構成要素を「 \(A\) の因数」といいます。
\(A=B×C\) のように、因数の積で表すことを、「因数分解」といいます。
数の因数分解
\(20=4×5\) なので、\(4\) や \(5\) は \(20\) の因数です。
\(20=2×10\) なので、\(2\) と \(10\) も同じく \(20\) の因数です。
これって約数と何が違うの?
はい、違いません。
自然数の因数は、「約数」という名前で学習済みだったのです。
なぜ「因数」などという新しい言葉がでてきたのかというと、
式を積の形にすることがあるからです。
式の因数分解
\(xy+3x=x(y+3)\) なので、\(x\) や \(y+3\) は\(xy+3x\) の因数です。
ちなみに「因数分解」といえば、世間的には、
この「式を積の形に変形すること」を指します。
中学3年生の序盤に、みっちり別単元にて練習をすることになります。
素因数分解
素数である因数を「素因数」といい、
自然数を素因数の積で表すことを、「素因数分解」といいます。
※小学校でも学習していますね!
例題1
\(360\) を素因数分解しなさい。
解説
素数で順に割っていきます。
割り算を逆にした筆算、はしご算が有名ですね。
連除法ともいわれます。
よって、
\(360=2^3×3^2×5\)
律儀に小さい素数から順に割っていかなくとも、OKです。
例えば
\(360=9×40\)
と暗算します。
そして、\(9\) や \(40\) をまた分解していくのです。
\(9=3^2\)
\(40=5×8=5×2^3\)
よって、
\(360=9×40\)
\(=3^2×5×2^3\)
\(=2^3×3^2×5\)・・・小さい素数から順にかくのが普通
例題2
\(270\) に自然数 \(A\) をかけて、その積がある数の平方になるようにします。
最小の \(A\) はいくつか求めなさい。
解説
\(270A=B^2\) となるような最小の自然数 \(A\) を求めたいわけです。
\(270\) を素因数分解します。
\(270=2×3^3×5\)
です。
平方数とは、同じ数を \(2\) つかけあわせた数なので
\(2,3,5\) という素因数が、偶数個ずつあればよいのです。
\(270×\)\(2×3×5\)\(=2×3^3×5×\)\(2×3×5\)
\(270×\)\(2×3×5\)\(=2×2×3×3×3×3×5×5\)
\(270×\)\(2×3×5\)\(=(2×3×3×5)^2\)
つまり、
\(A=2×3×5=30\)
\(B=2×3×3×5=90\)
と求まりました。
もっと深く学習!
最小の \(A\) だけでなく、\(2\) 番目に小さい \(A\) や \(3\) 番目に小さい \(A\) も
求めてみましょう。
\(270×30=90^2\) でしたが、順に
\(270×30×\)\(2^2\)\(=90^2×\) \(2^2\)
\(270×30×\)\(3^2\)\(=90^2×\) \(3^2\)
\(270×30×\)\(4^2\)\(=90^2×\) \(4^2\)
と続いていきます。
よって、\(270A\) が平方数になるような \(A\) は
\(30×n^2\)、ただし\(n\) は自然数
であり、小さい順に、\(30,120,270,480\)・・・と無限に続きます。
例題3
\(720\) を自然数 \(A\) で割って、その商がある数の平方になるようにします。
最小の \(A\) はいくつか求めなさい。
解説
調べたら数秒?
例題 \(2\) と似ています。
もちろん素因数分解による解法なのですが・・・
この問題って、\(÷2\),\(÷3\),\(÷4\)・・・って順に調べていけばすぐに見つかりそうです。
\(720\) の約数を調べるだけですからね。
実際その解法で、ものの \(1,2\) 分で答えがでますね。
答えは
\(A=5\) です。\(720÷5=144=12^2\) となります。
素因数分解による解法
素因数分解による解法も学習しておきましょう。
\(720=2^4×3^2×5\)
平方数とは、同じ数を \(2\) つかけあわせた数なので
\(2,3,5\) という素因数が、偶数個ずつあればよいのです。
\(5\) は \(1\) つしかないので、割り算によって消すしかないですね。
\(2,3\) は いずれも偶数個なので、\(2\) つに分けることができます。
\(\displaystyle \frac{720}{5}=\displaystyle \frac{2^4×3^2×5}{5}\)
\(\displaystyle \frac{720}{5}=2^4×3^2=(2^2×3)^2\)
例題4
\(\displaystyle \frac{1}{600}=\displaystyle \frac{A}{B^3}\)
を満たす最小の自然数 \(A\) はいくつか求めなさい。
解説
調べたら数秒?
\(\displaystyle \frac{1}{600}=\displaystyle \frac{2}{1200}=\displaystyle \frac{3}{1800}=\displaystyle \frac{4}{2400}\)・・・ということです。
分母が \(B^3\) 、立方数になっているものを見つけられれば良いのですが・・・
立方数なんて覚えてないですよね・・・
素因数分解という正攻法で解きましょう。
素因数分解による解法
\(600=2^3×3×5^2\)
なので
\(600×\)\(3×3×5\)\(=2^3×3×5^2×\)\(3×3×5\)
\(600×\)\(3×3×5\)\(=2^3×3^3×5^3\)
\(600×\)\(3×3×5\)\(=(2×3×5)^3\)
このことから、
\(\displaystyle \frac{1}{600}=\displaystyle \frac{3×3×5}{600×3×3×5}=\displaystyle \frac{3×3×5}{(2×3×5)^3}\)
よって、
\(A=3×3×5=45\)
\(B=2×3×5=30\)
です。
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