平方根
直角二等辺三角形の斜辺の長さ
唐突だが、次の問題を考えてみましょう。
下図のような、直角をはさむ \(2\) 辺の長さが \(1\) cmの直角二等辺三角形の斜辺の長さ \( x\) を求めよ。
実際にノートに書いて、斜辺の長さを測ってみください。
もちろん完璧に正確な図はかけないし、完璧にきっちり長さを測ることはできません。
しかし、およそ、\( x\) がおよそ \(1.4\)\((cm)\) くらいであることは確かめられます。
ぜひやってみて下さい。
斜辺の長さを面積から考える
問題の直角二等辺三角形を下図のように \(4\) つ組み合わせると、面積が \(2cm^2\)の正方形になります。
つまり、\(1\) 辺の長さが \( x\)cmの正方形の面積が \(2cm^2\)なので、
\( x^2=2\)
と表すことができます。
これは、\( x\) の項が2次なので、\( x\) の\(2\) 次方程式といいます。
\(2\) 次方程式などという新しいものが出てきました。
方程式なので、ぜひ解いて解を求めたいのですが・・・
これについては、3章 2次方程式 で詳しく学習をします。
さて、\( x\) がおよそ \(1.4cm\) くらいであることが予想されています。
\( x=1.4\) がならば、この方程式 \( x^2=2\) の解となるのかどうか、確かめてみましょう。
\( 1.4^2=1.96\)
\(2\) より少しだけ小さいので、\( x=1.41\)としてみると
\( 1.41^2=1.9881\)
先ほどより \(2\) に近づきましたが、まだ \(2\) より小さいですね。\( x=1.42\) としてみると
\( 1.42^2=2.0164\)
\(2\) を超えてしまいました。
つまり、
\(1.41 < x < 1.42\)
であることがわかりました。
この地道な計算を続けていくことで、
\( x=1.41421356・・・\)
と小数点以下を求めていくことができます。
※この値の求め方は実に様々な方法があります。
数学をより深く学んでいくことで美しい世界に出会うことになるでしょう。
無限に数を細分化して分析する学問を解析学といいます。
分数では表せない数 \(\sqrt{2}\) の導入
直角三角形の斜辺の長さ\( x\)、
\( x=1.41421356\)・・・ですが、この値を分数では表現することはできないのです。
分数で表現できない値の代表選手は、円周率である\( \pi\)ですが、
- 小数点以下無限に続く
- 小数点以下が循環することがない
という性質を持っていました。
この長さも同じ性質を持っています。
よって、特別な表記方法を新しく導入してこの値を表します。
\(x=\sqrt{2}\)・・・ルート \(2\) と読みます。
記号\(\sqrt{}\)を根号といいます。
つまり、
\(\sqrt{2}×\sqrt{2}=2\)
\(\sqrt{2}^2=2\)
となります。
\(\sqrt{2}=1.41421356\)・・・
です。
平方根 2次方程式の解
めでたく直角二等辺三角形の斜辺の長さが求まりました。
実は長さを求めたというよりも、「\(2\) 乗して \(2\) になる数の名前を新しくつけた」
というのが正しいでしょう。
\(2\) 乗して \(2\) になる数のことを、\(\sqrt{2}\) と決めたのです。
ところで
少しややこしい話が続きます。
\(2\) 乗して \(2\) になる数は、 \(\sqrt{2}\) だけではないのです。
\(2\) 乗して \(2\) になる数は \(-\sqrt{2}\) もあるのです。
\((-\sqrt{2})×(-\sqrt{2})=2\)
ということです。
\(2\) 乗して \(2\) になる数は、正と負に \(1\) つずつあるということです。
ですので、厳密に正しく書くと
\(2\) 乗して \(2\) になる正の数は \(\sqrt{2}\) です。
\(2\) 乗して \(2\) になる負の数は \(-\sqrt{2}\) です。
この \(2\) つを合わせて
\(2\) の平方根は \(±\sqrt{2} \) ・・・プラスマイナス ルート \(2\) と読みます。
といいます。
平方根という新しい言葉がでてきました。
\(x\) の平方根 ⇔ \(2\) 乗して \(x\) になる数のこと(正と負に \(1\) つずつ)
\(+\sqrt{2}\) と \(-\sqrt{2}\) の \(2\) つをまとめる表記が、\(±\sqrt{2}\) です。
つまり、先ほど2次方程式 \( x^2=2\) に登場してもらいましたが、
この方程式の解は、\( x=±\sqrt{2}\) となります。
※もちろん先ほど考えた斜辺の長さは正の数であって、負の数は該当しません。
まとめ
\(2\) 乗して \(2\) になる数は正と負に \(1\) つずつあり、\(±\sqrt{2} \)
\(2\) の平方根は \(±\sqrt{2} \)
\( x^2=2\) の解は、\( x=±\sqrt{2}\)
この \(3\) つは、すべて同じことを表しています。
言い方が異なるだけです。
数の拡張が行われました。
この平方根の導入によって、\(2\) 次方程式を解くことができるようになるのです。
中学 \(3\) 年生の数学学習の当面の目標は \(2\) 次方程式を解くことなのです。
\(2\) 次方程式を解くための準備を、コツコツと積み上げていくことになります。
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