2乗に比例・変化の割合の公式
変化の割合とはそもそも何なのか、
前ページできちんと納得していただけたかと思います。
ところで、
\(2\) 乗に比例、\(y=ax^2\) の変化の割合を、ズバッと公式一発で求めることができます。
\(x\) の値が \(x_{ 1 }\) から \(x_{ 2 }\) に増加するときの変化の割合は、
変化の割合= \(a(x_{ 1 }+x_{ 2})\)
この公式は、便利であることは疑いようがありませんので、
覚えてしまいましょう。
しかし・・・
そもそも変化の割合って何なの?
という好奇心なしに、この公式だけを覚えても、
あまりにもつまらない学習になることは間違いありません。
とても便利な公式なので、どんどん使ってしまって構いませんが、
「へえ、あの直線の傾きが、こんな簡潔な式一発で求まるんだ、不思議だなあ、便利だなあ」
という気持ちで使うのが正しい学習かなと思います。
例題1
\(y=-2x^2\) について、\(x\) が次のように増加するときの変化の割合を求めなさい。
① \(1\) から \(3\) まで
② \(-1\) から \(2\) まで
③ \(-5\) から \(-2\) まで
④ \(-3\) から \(3\) まで
解説
前ページのように、\(2\) 点を結ぶ直線の傾きとして出すこともできるようになっておきましょう。
ここでは、公式の使い方の練習とします。
① \(1\) から \(3\) まで
\(変化の割合=-2(1+3)=-8\)
これで求まってしまいました。
簡単で便利です。
② \(-1\) から \(2\) まで
\(変化の割合=-2(-1+2)=-2\)
原点をまたぐ変化の割合です。
いわゆる、意味のない変化の割合ですが、
これも公式一発でOKです。
③ \(-5\) から \(-2\) まで
\(変化の割合=-2\{-5+(-2)\}=14\)
④ \(-3\) から \(3\) まで
\(変化の割合=-2\{-3+3\}=0\)
これは公式を使わなくとも、
図形的にも明らかですね。
例題2
\(y\) が \(x\) の \(2\) 乗に比例し、 \(x\) の値が \(1\) から \(4\) まで増加するときの
変化の割合が \(\displaystyle \frac{5}{2}\) であるような関数の式を求めなさい。
解説
公式なしで解いて見ましょう。
求める関数の式を \(y=ax^2\) とすると、
このグラフは
\((1,a)\)
と
\((4,16a)\)
を通る。
この \(2\) 点を結ぶ直線の傾きが、変化の割合 \(\displaystyle \frac{5}{2}\) なのだから、
\(変化の割合=\displaystyle \frac{yの増加量}{xの増加量}\)
より、
\(\displaystyle \frac{5}{2}=\displaystyle \frac{16a-a}{4-1}\)
\(\displaystyle \frac{5}{2}=\displaystyle \frac{15a}{3}\)
\(\displaystyle \frac{5}{2}=5a\)
\(a=\displaystyle \frac{1}{2}\)
公式を用いる別解
\(\displaystyle \frac{5}{2}=a(1+4)\)
\(\displaystyle \frac{5}{2}=5a\)
\(a=\displaystyle \frac{1}{2}\)
公式を用いると、圧倒的な速さで解決します。
意味不明な公式は使うな!
とは言えない便利さがあると、認めざるを得ません。
例題2
\(y=\displaystyle \frac{1}{4}x^2\) において、\(x\) の値が \(a\) から \(a+4\) まで増加するときの
変化の割合が \(-3\) である。このとき、 \(a\) の値を求めなさい。
解説
定義通り、文字式の計算をすることも可能ですが、
公式の便利さをかみしめましょう。
\(-3=\displaystyle \frac{1}{4}(a+a+4)\)
両辺を \(4\) 倍して整理すると
\(-12=2a+4\)
\(a=-8\)
あっさりと求まりました。
この公式はなぜ成り立つのか
\(y=ax^2\) において、
\(x\) の値が \(x_{ 1 }\) から \(x_{ 2 }\) に増加するときの変化の割合は、
変化の割合= \(a(x_{ 1 }+x_{ 2})\)
とても便利な変化の割合の公式ですが、
どうしてこの公式が導かれるのでしょうか?
それについて下で示します。
\(y=ax^2\) において、
\(x\) の値が \(x_{ 1 }\) のときの \(y\) は \(ax_{ 1 }^2\)
\(x\) の値が \(x_{ 2 }\) のときの \(y\) は \(ax_{ 2 }^2\)
\(変化の割合=\displaystyle \frac{yの増加量}{xの増加量}\)
なので、この式に代入します。
\(変化の割合=\displaystyle \frac{ax_{ 2 }^2-ax_{ 1 }^2}{x_{ 2 }-x_{ 1 }}\)
分子を \(a\) でくくると
\(変化の割合=\displaystyle \frac{a(x_{ 2 }^2-x_{ 1 }^2)}{x_{ 2 }-x_{ 1 }}\)
分子は \(2\) 乗の差なので、和と差の積に因数分解できます。
\(変化の割合=\displaystyle \frac{a(x_{ 2 }+x_{ 1 })(x_{ 2 }-x_{ 1 })}{x_{ 2 }-x_{ 1 }}\)
\(x_{ 2 }-x_{ 1 }\) で約分すると
変化の割合= \(a(x_{ 1 }+x_{ 2})\)
これで公式が導かれました。
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