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【中学数学】式による説明 nの倍数

例題

連続する \(3\) つの整数の和は、\(3\) の倍数になることを、文字を使って説明しなさい。

解説

初めてこの問題を見て、何がなんやらポカーンとなっているみなさん。

大丈夫です。

一からしっかりと解説をしていきます。

問題の意味を確認しよう

まず、「連続する \(3\) つの整数」の意味ですが、

\(1,2,3\)
\(2,3,4\)
\(3,4,5\)
のように、\(3\) つ続いている整数という意味です。

\(100,101,102\) など、
その組は無限にありますね。

そして、「これら \(3\) つを足すと \(3\) の倍数になる」というのです。

\(1+2+3=6・・・3×2\)
\(2+3+4=9・・・3×3\)
\(3+4+5=12・・・3×4\)
\(100+101+102=303・・・3×101\)

確かに上の例では \(4\) 組すべて成り立っています。
連続する \(3\) つの整数の和は、\(3\) の倍数になっています。

何組調べても、無限の組を調べることはできない

問題文の最後に、文字を使って説明しなさい、とあります。
これは一体何なのでしょうか。

ずばり結論からかくと

文字を使うことで、無限の場合を説明できる!!

のです。

連続する \(3\) つの整数の和は、\(3\) の倍数になるかどうか。
具体例でどんどん確かめることができます。
実際に上では、\(4\) 組の例で確かめてみました。

しかし・・・

\(4\) 組調べてみたから、必ず、常に、どんなときも成り立つ!
とは言えません。
では \(100\) 組調べたら良いのでしょうか。
\(10000000\) 組調べたら良いのでしょうか。

連続する \(3\) つの整数の組は、無限にあります。
いくらたくさん調べたところで、まだ調べていない組に、
成り立たない組があるかもしれないのです。

そこで、文字を利用するのです。

文字とはどんな数にもなれる忍者のようなもの

文字を利用することで、無限にある組について説明することができる。
どのように説明するのか。
これはもう具体例を見てもらうしかありません。

以下に模範解答を示します。

模範解答例

\(n\) を整数とすると
連続する \(3\) つの整数は\(n,n+1,n+2\) と表せる。
この \(3\) つの整数の和は
\(n+(n+1)+(n+2)\)
\(=3n+3\)
\(=3(n+1)\)

\(n+1\) は整数なので、\(3(n+1)\) は\(3\) の倍数である。
よって、連続する \(3\)つの整数の和は、\(3\) の倍数になる。

模範解答の解説

模範解答例を読んでみて、どうだったでしょうか?
細かく解説していきますね。

\(n\) を整数とすると
連続する\(3\) つの整数は\(n,n+1,n+2\) と表せる。

これは、\(n\) は整数ならば何を代入してもOKという意味です。

\(n=1\) ならば \(1,2,3\) の組
\(n=2\) ならば \(2,3,4\) の組
\(n=100\) ならば \(100,101,102\) の組

\(n\) はどんな整数でもいいので、
これで無限にあるすべての組を一括して表しているのです。
これが文字の強さです。
※この文字の利用によって、数学は著しく発達しました。数の代わりに文字を
使うという意味で、「代数学」と呼ばれます。

この\(3\) つの整数の和は
\(n+(n+1)+(n+2)\)
\(=3n+3\)
\(=3(n+1)\)

続いて、連続する \(3\) つの整数の和を計算しますね。
\(3\) 行目の \(3n+3\) で計算を終わりとせず、
\(4\) 行目の \(3(n+1)\) に変形したのはなぜか。

それは、この計算結果が、\(3\) の倍数になっていることを示すためです。

改めて、「 \(3\) の倍数」という言葉の意味を確認しておきましょう。

「\(3\) の倍数」とは、
\(3,6,9,12,・・・,99,・・・\)
のような「\(3\)×整数」で表される数のことですね。

ですので、ある数が \(3\) の倍数であることを示したいのならば、
「\(3\) ×整数」であることを示さないといけないのです。

ですから、
\(3\) 行目の \(3n+3\) で計算を終わりとせず、
\(4\) 行目の \(3(n+1)\) に変形したのです。

\(n+1\) は整数なので、\(3(n+1)\) は \(3\) の倍数である。
よって、連続する\(3\) つの整数の和は、\(3\) の倍数になる。

最後にこのように解答をしめくくります。

\(n+1\) は整数なので、\(3(n+1)\) は \(3\) の倍数である。

のように、式変形の意味をきちんと説明し、

よって、連続する\(3\) つの整数の和は、\(3\) の倍数になる。

という結論をかきます。
この結論は問題文をそのまま写すということでかまいません。

文字による一括管理は、新しい考え方ではない

今回、文字を利用することで、無限の組を一括して扱う
という新しい考え方を学びました。

しかし

「たくさんのものを、総称した言葉で一括に考える」ということは、はじめてでてきた考え方ではありません。

本問にもでてきた、「\(3\) の倍数」という言葉はどうでしょうか。

無限にある\(3\) の倍数をまとめて扱っています。
もちろん、\(3\)×整数 になっている数
ということですね。
この 「整数」という部分を「\(n\)」に代えただけなのです。

難しく考えすぎる必要はありません。
考えるより慣れろ、といったところでしょうか。

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